概要

 C60単層膜をグラファイト層間にインターカレートすることによって作製されたフィルムは、超潤滑の性能を発揮できることが確認できていることなどから、工業化、商品化はきわめて有望である。この摩擦ゼロフィルムを自動車等の大型機械からナノマシンまでさまざまなサイズの機械、機器に適用することができれば、摩擦の極めて少ない夢の摩擦ゼロマシンを実現することが期待される。本研究では、グラファイト層間へC60単層膜を安定的に簡便かつ迅速に封入する方法を開発するとともに、摩擦ゼロフィルムをグリースやオイルに混入することによって潤滑性を評価し、新規摩擦ゼロフィルムの開発とその事業化を検討した。

研究開発目的

プロジェクトリーダー  : 三浦 浩治
      〔愛知教育大学 教育学部 物理領域 教授〕
側面支援機関 : 名古屋中小企業投資育成株式会社

今後の展開、将来の展望

 オイルやグリースへの添加剤としての機能を評価するために、添加剤の含有量を変えて最適な条件を調べる予定である。
また、オイルやグリースなどの用途に応じた添加剤としての最適な超潤滑フィルムのサイズを調べるとともに、最適なサイズの超潤滑フィルムを作製するために、超潤滑フィルムのサイズの均一化方法について検討する予定である。さらに、新規超潤滑フィルムの製品としての安定的な供給技術を確立するとともに、大規模化および効率化によるコストダウンを検討する。将来的に、超潤滑システムを可能にする摩擦ゼロフィルムの機構は、オイルやグリースの添加剤だけでなく、新たな製品への応用も期待できる。

 オイル、グリースなどの潤滑性の向上のためには、グラファイト層にフラーレンが一様に封入されることおよび添加する超潤滑フィルムのサイズなどが重要である。そこで、グラファイト層をフラーレンが封入できる十分な層間隔になるように一様に拡大した。はじめに、グラファイト粉末を硫酸、硝酸ナトリウムおよび過マンガン酸カリウムを用いて酸化することにより、層間が一様に拡大した酸化グラファイトを作製した。次に、酸化グラファイトの層間にオクチルアミンを挿入することにより、酸化グラファイトの層間をさらに拡大した。その後、層間が拡大したグラファイトをフラーレン/トルエン溶液に加えることで、拡大したグラファイト層間のフラーレン挿入を試みた。さらに、過剰なオクチルアミンを除去するために塩酸により処理した。作製した試料は、X線回折とFT-IRによりグラファイトの層間にフラーレンが挿入されていることが示された。また、作製した試料から得られた高分解能TEM像において、フラーレンの存在を確認できた。
 本粉末フィルムをグリースへ混入した場合における高速四球試験機により評価した磨耗体積および磨耗痕は、グラファイト粉末とフラーレンを単に混合した試料、及び一般的に添加剤として使用されるグラファイトや二硫化モリブデン(MoS2)よりも格段に優れた潤滑性を示した。さらに、オイルおよびグリースへ混入した場合のブロックオンディスク磨耗試験では、摩擦係数0.05を下回る極めて良好な結果を示した。したがって、本試料がオイルやグリースの添加剤としても極めて有効であることが示された。

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グラファイトとフラーレンによる超潤滑システムの実用化研究

研究内容、研究成果

摩擦係数0.01をもつ超潤滑グリース、超潤滑オイルの開発研究

JST研究成果最適展開支援事業フィージビリティスタディ可能性発掘タイプ 企業検証

平成21年度採択課題

JST homepage

代表研究者   : 三浦 浩治
    〔愛知教育大学 教育学部 物理領域 教授〕

共同研究機関 : 愛知県産業技術研究所
共同研究企業 : サハシ特殊鋼株式会社
            セイコーインスツル株式会社
            中京化成工業株式会社
            日産金属株式会社
            中央発條株式会社

 
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JST育成研究課題

平成17年度採択課題 (18年度~20年度)

プロジェクトリーダーが発明した超潤滑分子ベアリング材料(国際特許出願: PCT/JP2004/18016)は、グラファイト基板を化学処理によってC60単層膜とグラフェンが交互に繰り返すように、C60単層膜をグラファイト層間にインターカレートしたものである。さらに本材料は、C60フラーレン分子をグラファイト内に内包していることにより、高機能性を備えている新材料である。 
 本研究では、開発された超潤滑分子ベアリング材料をグリースやオイルに混入することよって、摩擦係数0.01(またはそれ以下の摩擦係数)の超潤滑グリース、超潤滑オイルの商品化を目指す。超潤滑グリース、オイルの中から事業化、起業化に有効な商品の検証を行う。